産前にもらえるお金 | 内容 | 対象者 | 金額 |
妊婦検診費の助成 | 妊娠中に妊婦さんが受ける「妊婦検診」にかかる費用が補助 | 妊婦さん全員 | 総額10万〜15万円ほど |
産後にもらえるお金 | 内容 | 対象者 | 金額 |
出産育児一時金 | 出産した場合は赤ちゃんの人数分だけ支給されるお金 | 全員(健康保険加入が条件) | 1人につき50万円 (例:双子なら100万円) |
パパママ応援ギフト | 出産育児関連用品の購入や子育て支援サービス利用時の費用負担の軽減を図るお金 | 全員 | 妊娠時:5万円 出産時:5万円 |
出産手当金 | 働くママが出産する場合、産前と産後にもらえるお金 | 働くママ(健康保険加入が条件) | 給料の2/3 |
育児休業給付金 | 働くママが出産した後、赤ちゃんが1歳(場合によっては2歳)になるまでもらえるお金 | 働くママ(健康保険加入が条件) | 給料の2/3 |
高額療養費 | 1ヶ月の医療費が自己負担限度額を超えてしまった場合、超えた分の払い戻しを行えるお金 | 全員 | |
医療費控除 | 1月1日から12月31日までの1年間に10万円以上の医療費を払った人が受けられるお金 | 全員 | |
傷病手当金 | 怪我や病気によって仕事ができなくなった場合に、生活を補助するためにもらえるお金 | 働くママ(健康保険加入が条件) | 給料の2/3 |
児童扶養手当金 | ひとり親家庭を対象にもらえるお金 | ひとり親家庭 | 月額41,020円(満額) |
失業給付金 | 妊娠・出産のタイミングで会社を退職する場合は、求職の再開タイミングで失業給付金を受け取れる可能性 | 全員 |
産前にもらえるお金
妊婦検診費の助成
産前に全員がもらえるお金として、妊婦検診費の助成が挙げられます。これは、妊娠中に妊婦さんが受ける「妊婦検診」にかかる費用を、各自治体が補助する制度です。妊娠は病気ではないため、治療が必要な緊急時を除いては基本的に健康保険の適応外になります。
1回にかかる妊婦検診の費用は平均すると5千円程度なので、全額を実費で支払うと総額10万〜15万円ほどかかるといわれています。この費用の負担を自治体が支援してくれるのが、妊婦検診費の助成制度です。
また、妊婦検診費の助成は現金で支給されることはほとんどありません。大半は「受診票」や「補助券」などの紙を受け取り、これを窓口に提出して補助を受ける形になっています。
妊婦検診費の助成制度は各自治体で設けられているため、住んでいる地域によって助成金額や回数などは異なります。基本的に妊婦検診は14回受けなくてはいけないため、どの自治体でも14回は検診費の助成が受けられるようになっています。
また、全国一律で助成金額が決められているわけではないため、自治体によって補助してもらえる金額にも差があります。助成金額が最も少ないのが71,417円の神奈川県、最も大きいのが137,813円の石川県です。(平成30年時点)
産後にもらえるお金
出産育児一時金
補助金額は子ども1人につき50万円で、双子以上を出産した場合は赤ちゃんの人数分だけ支給される仕組みになっています(令和4年時点)。また、出産育児一時金は健康保険に加入している本人、またはその扶養家族が出産した場合に支給されるものです。
ただし、この補助金額が少なくなるケースもあるため、注意が必要です。在胎週間が22週未満での分娩の場合や、産科医療補償制度に加入していない医療機関で出産した場合は、出産育児一時金が減額されます。この場合、補助金の額は48万8千円となります(令和5年時点)。
現在、多くの病院で「直接支払制度」が採用されています。これは、健康保険が病院へ直接出産育児一時金を支払うという仕組みです。この制度に対応している医療機関なら、退院する際は入院費と分娩費を全額支払う必要がないため、大きなお金を用意しておく必要がありません。
ただし、中には直接支払制度に対応していない病院もあるため、出産前に確認しておくことが大切です。もし直接支払制度に対応していない病院で出産する場合は、退院する際に一度費用を全額負担することになります。その後、健康保険組合に出産一時金を申請すれば、お金が返ってくる仕組みです。
出産育児一時金よりも入院費・分娩費が安く済んだ場合は、健康保険組合に請求しましょう。申請することで、出産育児一時金と分娩費用の差額分のお金を受け取れます。ただし、申請しないと差額分を受け取れないため、該当する場合は忘れず請求しましょう。
出産手当金
働くママが受け取れるお金として、出産手当金が挙げられます。仕事をしているママが出産する場合、産前と産後に産休を取得できます。この産休期間中には給料がもらえないため、ママが加入している健康保険から「出産手当金」としてお金が支給されることになっているのです。
この制度では、「出産予定日前42日」と「予定日から出産が遅れた日までの日数」「産後56日分」の手当金を取得できます(令和4年時点)。もし出産日が早くなった場合は、早まった分の日数を減らした金額が支給される仕組みです。また、標準報酬日額(支給開始以前の12ヶ月の標準報酬月額の平均額を30日で割った額)の3分の2が、出産手当金としてもらえます。
雇用体系は関係なく受け取れる
出産手当金は、職場の健康保険に加入していれば雇用体系に関わらず取得可能です。正社員はもちろん、アルバイトやパート、派遣社員でも出産手当金の対象になっています。また、取得できる金額はママの収入によって異なります。
出産手当金の受給には条件がある
出産手当金は誰でも受け取れる訳ではなく、受給にはいくつかの条件があります。出産手当金は、勤務先の健康保険に加入しており、出産のために休業しているママが対象の制度です。妊娠4ヶ月以降の出産であることが条件なので、それ以前の出産では手当金は受給できません。
出産手当金を受け取る条件
勤務先の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合など)に加入している
出産のために休業している
妊娠4ヶ月以降の出産である
妊娠をきっかけに職場を退職した場合は健康保険の被保険者でなくなるため、基本的に出産手当金は受け取れなくなります。しかし以下の2点を満たしていれば、健康保険の被保険者でなくなっても出産手当を受け取れます。妊娠・出産で仕事を辞めた人や退職を検討している場合は、確認してみましょう。
出産手当金を受け取れる条件
健康保険の資格を失う前日までの被保険者期間が、継続して1年以上ある
健康保険の資格を失う日の時点で、出産手当金を受けている・または受けられる状態にある
入金までには時間がかかる
出産手当金は、申請から入金まで1〜2ヶ月ほどかかるとされています。給与と同じように毎月支給される訳ではないため、注意が必要です。また、出産手当金は産前・産後など複数に分けて申請できますが、その度に事業主の証明が求められます。そのため、産休明けの産後57日目以降に、産前・産後休暇分をまとめて申請するのがおすすめです。
育児休業給付金
育児休業給付金も、働くママがもらえるお金です。働いているママは出産した後、赤ちゃんが1歳(場合によっては2歳)になるまで育児休業を取得できます。この期間にママが無収入になってしまわないよう、国が支給しているのが育児休業給付金です。これは働くママだけでなく、育児休暇を取得したパパも対象となります(令和4年時点)。
育児休暇給付金の計算式
育児休暇給付金は、パパやママの収入によって支給される金額が変わります。また、育休180日目までと181日目以降で計算式が異なるので、支給額を計算するときは注意してください。
育休180日目までの育児休業給付金の計算式
(育休開始時の日額賃金×支給日数)×67%
育休180日目以降の育児休業給付金の計算式
(育休開始時の日額賃金×支給日数)×50%
高額療養費
高額療養費は、働いていても専業主婦でも誰でも受け取れるものです(令和4年時点)。妊娠・出産は、基本的には健康保険は適用されません。しかし、つわりや切迫早産などの不調が起こり、治療や入院などの医療行為が必要になると健康保険が適用されます。ですが、健康保険が適用されたとしても、どうしても医療費が高くついてしまいます。
1ヶ月の医療費が自己負担限度額を超えてしまった場合、超えた分の払い戻しを行えるのが「高額療養費」です。高額療養費では、夫と妻が加入している健康保険ごとに世帯を分けて考えることになっています。
入院や治療が決まっており、医療費がかかることがあらかじめわかっている場合は、加入している医療保険に高額療養費の申請をしておきましょう。「限度額適用認定証」をもらっておけば、病院の窓口で支払う金額を限度額以内に抑えられます。
医療費控除
妊娠・出産で高額の医療費を支払うことになった場合、医療費控除が受けられる可能性があります。医療費控除とは、1月1日から12月31日までの1年間に10万円以上(または所得の5%以上)の医療費を払った人が受けられる制度です。
家族全員の医療費が対象となるため、妊娠や出産だけでは10万円以上にならなかった場合でも申告できることがあります。医療費控除を受け取るには確定申告をする必要があるため、忘れずに行いましょう(令和4年時点)。
傷病手当金
傷病手当金は、働いているママがもらえるお金です。傷病手当金とは、怪我や病気によって仕事ができなくなった場合に、生活を補助するためにもらえるお金のことです。傷病手当金では最長で1年6ヶ月、収入の67%程度が支払われることになっています(令和4年時点)。
つわりや切迫早産も対象となっているので、給与が十分に支払われない可能性がある場合は確認しておきましょう。入院にならず自宅療養になった人でも、医師の診断書や意見書があれば傷病手当金の対象になりますよ。
児童扶養手当金
児童扶養手当金とは、ひとり親家庭が対象となっている補助金です。手当の金額は養育費の額や請求者の所得などで異なり、受給するには再婚していないことや所得制限などの条件があります。手当額は全部支給の場合は月額41,020円、一部支給の場合は41,010〜9,680円までです。2人目は5千円が追加され、3人目以降になると更に3千円が追加となります(令和4年時点)
失業給付金
妊娠・出産のタイミングで会社を退職する場合は、求職の再開タイミングで失業給付金を受け取れる可能性があります。失業給付金とは、就職する意志があって仕事を探している人が、再就職が決まるまで生活できるよう支払われるお金のことです。
妊娠中は働くことができないとみなされてしまうため、失業給付がもらえません。そのため、失業給付の受給期間を延長する手続きをしておく必要があります。子どもを預けられる場所が見つかった後で再就職活動を行えば、その期間中は失業給付金が受け取れるようになっています。